一般公募から8組の作品・プロジェクトを選出しました!

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一般公募から8組の作品・プロジェクトを選出しました!たくさんの皆様にご応募をいただきまして、どうもありがとうございました。

茨城の豊かな地域資源の魅力を発信することのできる創造性にあふれた先進的な作品やプロジェクトを募集した「作品・プロジェクト一般公募」には、93組107作品の応募がありました。

南條史生(芸術祭総合ディレクター)、四方幸子(芸術祭キュレーター)、金澤韻(芸術祭アソシエイトキュレーター)、谷川じゅんじ(芸術祭クリエイティブディレクター)、林千晶(芸術祭コミュニケーションディレクター)の5人の審査委員による厳正なる書類審査を実施したうえで、選ばれた16組の面接審査を行った結果、以下の8組を茨城県北芸術祭への参加作品・プロジェクトとして選出しました。
なお、以下の企画内容は応募段階のものであり、今後具体的に制作を進める中で変更となることがあります。

総評

茨城県出身、在住・在勤、そして茨城県内での活動実績がある方という応募資格でしたが、たいへん多くの、そして力の入った提案が集まりました。それぞれが県北に住んだ思い出や、県北の環境をベースにするなどしており、その実感のこもった内容に審査する側も大いに触発されました。どのプロジェクトもユニークな上にレベルが高かったため、審査はたいへんに難航しましたが、芸術性、土地の文脈への関連度、実験精神、アピール性、また実現に向けた計画性などを鑑みながら、8つのプロジェクトを選出しました。今回は選に漏れた方々の提案も心に残るものが多く、別の機会に実現されることを強く願っています。

 

KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭 総合ディレクター 南條史生

【一般公募選出作品】

※以下の企画内容は応募段階のものであり、今後具体的に制作を進める中で変更となることがあります。また、図版は参考画像です。

○鈴木浩之/大木真人 「『だいちの星座』いばらきけんぽく座プロジェクト」

fc2578781008320f2dd4e03807cd6c48 ©daichinoseiza

参加者と共に人工衛星を利用して大地に星座を描くプロジェクト。手作りした電波反射器を地上に配置、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の衛星がその反射された電波を捉えることで、地上絵が出来上がります。描くのは大きな「星座」で、星座を構成する「星」は、茨城県北芸術祭エリアとなっている全6市町に点在させます。完成した地上絵と共にドキュメント映像や電波反射器を作品として展示します。

選出理由

このプロジェクトは私たちが地球に「いる」ところを宇宙から見てみようとするものです。宇宙からの視線によって、人々が反射する電波は光となって浮かび上がり、彼らの存在を示します。そしてその光の集合はまるで宇宙を写し取ったかのように美しい図像となるのです。壮大な仕掛けで描かれる自身の存在の証しは、科学技術が私たちに拓いて見せてくれる創造性を示すもので、茨城県北芸術祭の実験精神をよく体現したプロジェクトといえます。人工衛星を利用した綿密な計画、協力者の募集、協賛・助成の打診など、積極的な取り組みによる実現可能性も高く評価しました。

○林剛人丸 「今ここにある宙(そら)」

9841f4b712e180ddca42806bae3addcd 《想い浮かべる空》常総まちなか展覧会2011

このプロジェクトでは、人々の記憶の残る大きな空間の会場に青空が映し出される飛行船を浮かべ、個人の記憶を喚起しながら、それとの差異から場が持っている記憶を浮かび上がらせます。また、会期中にはテントを持ち込んでキャンプをするワークショップをおこない、地域の方と参加者が対話する場を作ります。

選出理由
これまでも青空が映し出される巨大な飛行船を浮かべてきたアーティストですが、今回は多くの人々の記憶が眠る場所を舞台にしたインスタレーションとして作品を構想しています。多くの人々に共有されるであろう、空を見上げた記憶を呼び水にして、子供の頃の思い出やある場所での出来事を鑑賞者の胸によみがえらせようとする。それはきわめて個人的なものであると同時に、その場と時間を共にした集団的な記憶でもあることでしょう。視覚的なインパクトと共に、県北の多くの人々に起こった出来事を反芻するような機会になるものとして評価しました。

○深澤孝史 「常陸佐竹氏再訪 Hitachi-Satake Revisited」

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アーティスト自身がかつてこの地を治めていた大名、佐竹氏に扮し、棚倉構造線を軸に、自然、佐竹氏の史跡、茨城県北で活動している人々に出会いながら旅をするプロジェクト。戦国大名の佐竹氏を土地と人の精神が結びついた象徴として召還し、現代に生きる人々と出会い、対話することで、未来について考えます。

選出理由
日本列島の成り立ちを物語る重要な断層、棚倉構造線を足下に感じながら、江戸時代以前に常陸の国を治めていた大名、佐竹氏を契機にして、現代の県北地域を歩き、人と出会い、対話を重ねていくという作品です。古代、中世、現代と3つの時代が重なり合うコンセプトは、他のコミュニティ系/プロジェクト系の作品群とは一線を画する、大きな広がりを持っています。本人が佐竹氏に扮することで人々とのコミュニケーションをより容易にした点、また会期前から会期前半にわたる多大な時間を県北地域の旅に費やし、多くの人に出会うことで、芸術と人々との距離を縮める役割を持つ点など、パフォーマンス作品としての側面も高く評価しました。

○松井靖果 「この先、記憶の十字交差あり。」

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日立市出身のアーティストの記憶にある場所や出来事を辿り、撮影した素材を組み合わせて、一枚の120号絵画を制作します。またその制作プロセスを録画して、絵画とともに映像インスタレーションとして展示します。

選出理由
幼い時に日立市に住んだ記憶をモチーフにした、絵画と映像によるインスタレーションで、映像では絵画を描く様子、日立の路地を行く様子、また思い出を読む作者自身のナレーションなどが折り重なっています。キャンバスに思い出を描き出す行為と、その行為の記録映像の再生が、作者自身の記憶を思い出す行為自体と絡まりながらつながり、時に断裂し、また早送りされることで、人間の脳内の情景と言葉の堆積や掘り起こしを象徴しています。ほぼ完成形を想像できるクオリティにまで仕上げられた映像による応募であり、絵画という古来の表現と現代のビデオカメラによる新鮮なイメージを総合する作品を作り出した力量を評価しました。

○宮原克人 「装飾器―生成と生業―」

68d3aab6819a1a0d27e95a0b88b2513b 《記憶の記録》会津・漆の芸術祭2010

木や漆の素材を用いた、室内でのインスタレーションと食のイベントです。地域の古材・道具や割り板を再構成し、また公開制作として漆を塗ります。それらは家具であり、器であり、彫刻である「装飾器」となります。30名程の漆の器や箸を用意して、展示期間中に食のイベントを開催します。また地域の方々に漆器を貸し出します。

選出理由
作者は漆芸を専門とし、工芸作品としての漆器づくりにフォーカスするだけではなく、漆器の使用、漆器のある生活、漆工芸自体のサステナビリティの考察も含め、漆文化の振興を包括的に考えています。プランは古材(建築廃材や古道具など)と漆のテーブルや器を組み合わせたインスタレーションですが、そこで催す食のイベントにて自身の漆工芸作品を用いることを提案し、生活と芸術の融合を促します。また自身の作品である漆器を日用の器として芸術祭各地域に貸し出す案は、特に展覧会と生活の境をなくし、漆器への親しみを喚起することになることでしょう。日本有数の漆の産地である大子を擁する県北に深く根ざした作品提案を歓迎したいと思います。

○村上史明「風景幻灯機」

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望遠鏡型のオブジェを県北各地の展望台やタワーに設置します。接眼レンズを通して内部をのぞくと風景がみえますが、その風景は一見現実のもののようで、実は現実をずらした、異なる風景となっています。各地に伝わる伝承や民話をリサーチし、取り込みながら、現実と幻想が混じり合う経験を作り出します。

選出理由
展望台など見晴らしのよいところに設置することを想定した、望遠鏡の形をした作品で、そこから見える現実の風景を素材としながらも、アニメーションを組み合わせたファンタジックな映像が楽しめるようになっています。鑑賞者にとって体験する楽しみがある作品であるとともに、県北の伝承や民話を取り込んだ映像は、土地の伝承や記憶に基づいた作品として芸術祭により深みを与えてくれるものになることでしょう。すべてのパーツを作家が一から作り上げた、完成度の高さも注目しました。彫刻作品としても鑑賞できる重厚な作品です。

○柚木恵介 「物々交換プロジェクト at KENPOKU」

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物々交換所となる屋台(本体:木造、リヤカー:鉄製、共に自作)を引き、道行く人々と物々交換を繰り返していくプロジェクトです。交換できるのは常に一つで、それと交換してくれる人を探しながら、大子町→常陸大宮市→常陸太田市→日立市→高萩市→北茨城市と移動していきます。交換した物と、交換してくれた人々をポラロイドカメラで撮影しながら、会期前に約2ヶ月の旅をして、その記録と軌跡を展示します。

選出理由
わらしべ長者のようにひとつずつ、物と物とを交換していくプロジェクトですが、その有名なおとぎ話のように成功へ向かうストーリーが描かれるわけではなく、作者は一つの物を自作の屋台に載せ、その物と交換してくれる物を持つ人を探し、ひたすら歩いていきます。貨幣を一切介さないことで、物の価値を率直に問い直すとともに、物を介した人々とのやりとりに価値を見いだそうとする、シンプルで力強い表現です。アーティストは2ヶ月間、この物々交換の屋台を引きながら県北の各地域を歩き回ります。そうすることで、大きくつながり、浮かび上がってくるものに、期待を抱かずにはいられません。

○茨城デザイン振興協議会 「日渡の里プロジェクト[大子町]」(連携プロジェクト)

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日本の原風景が残る大子町の山の暮らしとそこに住む人々をデザインし、地域の豊かさを紹介するプロジェクト。ポスター展覧会、米づくりワークショップ、お土産のパッケージデザインなどの複数の地域との協働プロジェクトで構成されます。

選出理由
茨城県内で活動を続けるデザイナーの集団、茨城デザイン振興協議会が、さまざまな切り口で県北地域、特に大子町の文化、産業を掘り起こし、プロモーションする内容です。地元との対話を重視した上で、デザインの力により芸術祭を盛り上げようという取り組みが評価されました。
※産業の面において地域との連携が期待できることから、「連携プロジェクト」として採択しています。

【作品・プロジェクト一般公募 概要】
応募申込締切:2015年12月14日(月)必着
応募資格:下記のすべてに該当する方
・茨城県北芸術祭の趣旨にご賛同いただける方
・茨城県にお住まいの方、通勤・通学されている方、ご出身の方、茨城県内での活動実績(芸術文化、地域振興など)がある方(グループの場合、応募資格に該当する方を1名以上入れてください。)
・入選した際に茨城県北芸術祭に必ず参加できる方